ルチア―願いを叶える者



「違う!寝たらだいぶ良くなったから大丈夫」


これは嘘じゃない。
さっきよりも体が怠くない。



「よく寝たからかな…」

「本当に良く寝てましたよ。証拠に、出た時は太陽が高かったのに、今はほら」



アルは遠くを指さす。
体を起こし、アルの指のさす方へと視線を向けると…



「わぁっ…」


山に消え行く夕日が、ルアーネの城下町を赤い輝きで照らしていた。


それを見て、ここが丘である事に気づく。
城下町が一望出来た。


何より夕日が大きい。
私達のすぐそばで太陽が沈んだかのよう…



「すごい!!すごいよアル!!私、こんなに大きな夕日見たの始めて!!」


幻想的……
私のいた世界とは全然違う…


「あなたの世界で夕日は見られないのですか?」

「見られないわけじゃないんだけど、私の国からは夕日がもっと遠いから…」


私が生きていた国は何もかもが遠い。


星も、空も、人も…
遠かった。



「自分の世界に帰りたいですか?」

「…え……?」


私が驚いたようにアルを見上げると、アルは何故か私から視線をそらした。