―――――――――――
――――――――
―――――


『花音…泣かないで』


…あぁ…
私はまた夢を見てるのかな…?


温かい……
この場所を私は知っている。



『泣かないで…』


いつだったか…
泣かないでと私に言った人がいた。



そう……
毎晩見る夢の中で、美しい金髪の女の人が私を抱きしめてくれる夢…


『笑って、花音。私の代わりにたくさん笑って愛されて…』



小さい頃、本能的に愛されていないと知った。


ただただ、悲しかった…


愛されたかった…


でもあなたは笑えという。私はただただ泣いていた。


『お願いよ、花音。私はあなたがいたから…カケラでも意志が残った。時を超えて大きくなったあなたが私に会いに来た時、私は希望を見つけたの』


私の頭を撫で、あなたは自嘲するような笑みを浮かべる。


『未来で、あなたが私を、世界の破滅である私を壊してくれる。それが私の救いだから…』


だから壊してとあなたは言う。



『私の可愛い花音…。私の未来を壊す者…。強き意志と揺るがない愛を育てて…』


不思議だ…
私はあなたの未来を奪うのに、あなたは私を愛しているという。


『この世界にあなたの心を繋ぎ止めて。その想いを見失わぬように……』


あぁ……
こうして私は何度もルリの夢を見てた。


ある日突然、ルリの夢を見なくなってからは記憶とともにこの夢の事も忘れてしまったけど…



私を愛してくれた…
あなたがいてくれたから、私は心を失わずにすんだの。


私の心を作ってくれた…



私……思い出した。
私はルリの未来を壊さなくちゃいけないんだ。


あの人がこれ以上苦しまない為に…