「ルチアよ、我を恐れているのか?」
恐れて………
―…げて…
「え………?」
また違う声が聞こえる。
―逃げて…
鈴の音のように美しく、淡く消え入りそうな声…
「あなたは…」
あなたはもしかして…
「ルリ…?」
―逃げて…。あなたまで捕われては駄目
「!!!」
ルリだ!!
記憶の中で、ルカと同じように私を愛してくれた人…
―試練なんて名ばかりよ。悪魔はこの世界を壊したいだけ…
「それはどういう事?」
―ルチアの心を追い詰めるだけ追い詰め、支配する。それを試練なんて度がすぎてるわ
追い詰めて…支配する…
―私がそうだったように…
「ルリ……」
思い出した…
ルカの記憶の中にルリが悪魔に取り込まれてたのを見た。
私もああなるの…?
―取り込まれては駄目。強い意志をもって…
強い…意志……?
―強い意志持てば自分を見失わないわ
「余計な真似を…。うかつだったな、お前の魂とルリの魂は元より二人で分け合ったものであった…」
正確にはルリとルカ。
今はルカの魂が私に生まれ変わった。
―あなたが強い想いを、意志を示すにはまだ早すぎる。だから今は…


