「アル、行こう。この世界が本当の平和を取り戻すまで、私を支えてほしいの」



たとえ、それが私の命を代償とするのだとしても…


「えぇ…もちろんです」

「一緒に生きる為に、私と戦って…アル」


この力でアルと生きる為の世界を守るんだ。


「あなたが生きると言ってくれて良かった。俺の剣はあなたの願いの為に使うと誓いましょう」

「ありがとう…アル…」


アルが傍にいてくれる。
それならきっと世界だって救える。


一緒なら乗り越えられる。

―グワンッ


「なっ…」

「地震!?」


世界が歪む。

地面が大きく揺れ、世界にヒビが入った。


―バリンッ

「わっ…あぁっ!!」

「花音!!!」


足場が無くなり、私達はどんどん下へ落ちていく



「…花音っ…」

「アル!!」


アルが私を引き寄せて抱きしめる。





「ルっ…ルチアの力よっ!!!」


今なら迷いは無い。
この命を代償にして、私は私が望んだ未来を手に入れるんだ。



迷ったとしても私達は一人じゃない。


お互いに手をひき合えばいい。


だから、私達は帰らなきゃ。私達を待つみんなの所へ…



「お願い!!私達を待つ仲間の元へ帰して!!」



―パァアアア!!!


私の体から光が瞬く。


―ドクンッ


「うっ…」


命の花びらが散り、天へと昇っていく。


光に包まれながら、王を失った虚なる世界を見渡した。


「…ありがとう…」


お父さんの悲しみが生み出した世界。
私と家族が出会えた場所。

さようなら……




光が世界を覆うまで、私はこの世界を見つめていたのだった。