ルチア―願いを叶える者



「これが…ルチアの全てですか…」


なんて重い…
奇跡…なんて綺麗なものじゃない。


ルチアは世界の犠牲者だ…


「…いや…。お前が真に知らねばならないのはルチアの代償についてだ」


―ドクンッ


心臓が嫌な音を立てる。


代償…
前々から気になっていた事だ。


やっぱり花音は何か代償を払っていた…


という事ですね…




「…花音は何を代償に…?」


「…命だ」

「…今なんと……」


嘘…でしょう…?
嘘と言ってくれればどんなに良かったか…


「命を代価とし、力を対価とする」


…花音が力を使う度に倒れていたのは…


命…すなわち生きる源を奪われていたから…


「何故…黙っていたんですか…」



横たわる花音を抱きしめる。


随分と痩せたようですね…
顔色も悪かった。


「何も…心配ないと言ったじゃないですか…」


声をかけても花音は眠ったままだった。