『それは待ってくれ』
ベレスレリアの神が声を上げる。
『決めるにはまだ早すぎる。我は存続に足るかをもう一度審議するべきだと思うのだ』
『…だが…』
『我が生み出した。勝手に生み出し、奪ったとすれば、ベレスレリアに生きる命があまりにも…』
「…ベレスレリアの神にはちゃんと頭があるようですね」
―優しい神だ。だが、その優しさが悲劇を生んだ。
「どういう事です?」
そしてまた空間が歪み、場面が変わった。
今度は高い建物がいくつも立ち、鉄の箱のようなものが物凄い勢いで走る不思議な場所にいた。
―ここは…日本だ
「日本…」
それって……
花音がベレスレリアに来たときに言ってた…
―ルチアの生まれた世界
ここが…花音の…
『ここが…』
俺達の隣にベレスレリアの神がいた。
『これが我の世界よ。他にもいくつもの国が存在する』
また違う光が現れた。
『この世界の人間に、我の世界の命運を託す。それに相応しき人間を…』
―ベレスレリアの神は、ベレスレリアの存続の有無を別の世界の人間に決めてもらう方法を選んだ
そうか…
別の世界の人間なら、情やひいき目なしにベレスレリアを見る事が出来るから…
「それが…ルチアなんですね…」
―そうだ
なんて…重い…
あの小さい肩に、なんて重荷を…
花音……


