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「…………………」
俺は闇の中で目を覚ます。だんだん思考が戻ってきた所でハッとして自分の腕の中を見た。
「良かった…」
腕の中には花音がいた。寝ているのか、目をつぶり、規則正しい呼吸をしている。
花音……
今度は一人にしないですんだ。
俺が傍にいます…
「早くここから出なくては…」
花音を抱き抱え、歩き出す。
でも…
歩いても歩いてもただの闇が広がっているだけだった。
「…くそっ……」
なんなんだここは…
早くしなければ、俺の体がもたな…
そういえば…痛くない?
自分の体を慌てて見るが、傷一つない。
一体どうなって…
『ここは我が君臨する我だけの世界』
「!!!!」
アルは花音を地面に寝かせ、剣を構えようとした。
「な…んだと…?」
…触れようとした剣がない。
確かに腰にさしたはずの剣が無いのだ。
『ここは我が創造せし世界。ここに死は存在しない。あるのは永遠の生と安息の闇のみ…』
「…どういう事です…?」
『お前達は黒き闇のルチアによって、虚ろなる世界へと飛ばされたのだ』
虚ろ……
何も無い世界…?
『闇のルチアの悲願はこの白き光のルチアがいては叶わない。故に世界から別離したのだ』
「…俺達は戻ります。花音を助けなければ…」
花音の心を取り戻さなければ。
あのルリという女になら花音を元に戻せるはず。
時間が惜しい。
もし手遅れになどなったら…
考えるだけで恐ろしい。


