――――――――――
――――――――
―――――
「花…音……?」
目の前にいる愛しい女を見つめる。
その瞳に光は無かった。
「ぐっ…あなたは…何を…」
言わずとも分かっていた。花音は心を無くしてしまったのだ。
信じたくない…
あの笑顔を…
もう見れないなんて…
「ふん、死に損ないが。死になさいよ」
―ザシュッ
「ぐはっ…」
―ドサッ
俺は地面に膝をつく。それでも、花音の手は離さなかった。
離すものか…
渡すわけにはいかない…
たとえ…
花音が俺を愛してはいなくても…
誰にも渡してなんてやりません…
「…なら一緒に引きずりこんであげる。闇の中にね」
―ズルッ
花音の体が歪んだ空間の中に沈んでいく。
「ぐっ…力がっ……」
負った傷のせいか力が入らない。
踏ん張らなければならないのに…
花音……
仕方がないですね…
あなたという人は全く…
「手がかかる…」
俺は花音を抱きしめた。
そして…
花音ごと俺は闇に引きずりこまれたのだった。


