ルチア―願いを叶える者



「お願いっ…離して!!」


今度は他の敵が現れ、アルに向かって剣を振り上げる。


―死んじゃう…



いくらなんでも死んじゃう…
どんなに強くたって、アルは人間だ…


魔物みたいに傷は塞がらない。


「ねぇ、離して!!お願いだから!!」

「出来…ませんっ…くっ…」


どこにそんな力があるんだろう…



アルの手は痛いくらいに私の腕に食い込んでいる。



やめて……
もういいから……


私のせいで死ぬのだけは…


―グサッ


「がはっ…あ…」

「アル!!!」


無慈悲にもアルの体をまた剣が貫いた。


「嫌…やめてっ!!!!」


悪夢だ…
私は悪夢を見てるんだ…


だってこんなの…


早く覚めてよ…
こんな…こんなのって…



「泣かな…いで……」


アルの声が聞こえた。
絶命してもおかしくない傷なのに…


力強く笑っていた。
あの不敵な笑みで…


「あなたを…もう…奪われたくない…」

「私は…アルを、みんなを守る為に…」


命という大きな代償を払ってきたのに…


「あなたが死んだら…私は…」


なんの為に命を賭けたのかわからない!!