「人柱…とは……?」
今まで成り行きを見守っていたアルが口を開く。
まずい……
力の代償が命なんて知られたら…
「無知な人間共、お前達の邪な欲望が当代のルチアをどれ程苦しめているか…考えた事もないでしょうね」
ルリは汚いものを見るようにアル達へ視線を向ける。
「何が言いたい…?」
今度はシェスが問う。
やめて……
言わないで、ルリ…
知らないで…
私の事でみんなを苦しめたくない…
お願い……
暴かないで………
「簡単には教えてやらないわよ。失ってから気づいて、せいぜい後悔すればいいわ」
そう言ってルリは高らかに笑った。
「さて、もう一人のルチア。今度は何をして遊びましょうか…」
ニタリと笑い、ルリは死神に視線を向ける。
「ルリ…もうやめて…」
こんな事…
なんの意味もない。
「あなただって救われない」
ルリ……
あなたがどんな苦しみを背負ってきたか、私は知ってる。
でもね…
こんなのは一時的な満たしであって、本当の救いじゃない。


