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『ルカ!!!』


誰かの声が聞こえた。
気づけば自分は横になっている。


……どうして横に?


『あぁ…力が入らない』


急激にに力が抜けていくのがわかる。


これが死ぬという事か…


不思議と恐くはない。
何故だろうな…


僕にはまだまだやらねばならない事がある。


死んでもやらなければならない事が…


『しっかりしろ!!ルカ、何があった!!』


『シェア…か……』


弱々しく笑うと、シェアは泣きそうな顔で僕を見た。


『一体どうしたというんだ!!』

『…帝国ガルディアは…どうなった…?』

『あぁ、王を倒し、同盟を結んだ』


同盟……?
帝国ガルディアが素直に従うとは思えない。


『あくまで表向きの話だ。裏は監視の意味も込めているがな。本当に信頼しあえたら良いと思っている』


『…君は…本当に…』


優しい王になるね…


『僕は…君に出会えて良かった…』

『別れの言葉みたいに言うな』

『別れの言葉だよ…シェア』


もう僕には時間がない。
最後の願いを叶えなければ…


『なんで…だ…。お前まで失うのか…俺はっ…』

『僕は…もともとこの世界の人間じゃない。だから還るんだ…在るべき場所へ…』


最後に僕は嘘をつく。
君が僕の死に捕われないように…


僕の精一杯の嘘を…


『帰る…?』

『そうだ…よ…。僕が…この世界で…やるべき事は終わった…んだ…』



僕が花音として転生しこの世界を訪れた時、君は生きていない。


これで最後だ……


『シェア…これを……』


僕は懐から一枚の手紙を出した。


『これは……?』


それをシェアに手渡す。