ルチア―願いを叶える者



「わ、私黒髪だったのに!!」

「何だ?もとからじゃないのか?」

「違います!!」


何があったの私の髪の毛さん!!


「ですが、とてもお似合いですよ」

「えっ……」


美形さんが褒めてくれた?
う、嘘っ…


「なんです、そんなに驚くなんて、失礼な人ですね」

「なっ…」


失礼なのはあなただと思います、美形さん。


「そうだ、自己紹介をしていないな。俺はルアーネ国第一王子のシェス・ルアーネだ」

「シェス…王子?」

「呼び捨てで構わない」

「シェス…?」

「上出来だ」


シェスは人懐っこい笑みを浮かべる。


あぁ…輝いてる。
本当に王子様みたい……


じゃなくて王子様なんだ!


「それでは俺の番ですね」


シェスへ向ける私の視線を経つように美形さんが前に立つ。


「見とれるのもよろしいですが、その緩んだ顔はどうかと」

「えっ!!!」


頬をおさえてみると、確かに緩んでいた。


「鼻の下が伸びてますよ」

「伸びてません!!」


失礼だこの人!!!!
恥ずかしいよぅ…


「改めて、俺はアルレイナ・スペロ。シェス王子の側近です」

「アルはルアーネの神盾(アード)と謳われる剣の腕の持ち主だ。こんなんだが国一の剣豪だ」


「アー…ド?」


アードってなんだろう?


「俺達の国では神の盾…という意味をもつ。簡単に言えばルアーネ国の守り神ってわけだ」



す、すごい人なんだ……


「大袈裟ですね。それより、俺の事もアルとお呼び下さい」

「女の人みたいな名前だから?」

「………………ふふ…」


きゃあぁぁぁ…
口が滑ったぁぁっ!!!!


「ぷっ…あははははっ!!アルにそんな事を言えるのはお前くらいだぞ!!」

「シェス…」

「あ、やばいな…」


シェスの顔色が真っ青になる。


「こいつ、俺を呼び捨てにした時は相当キレてる」

「シェス、どうしよう!!」

「に、逃げるぞ!!!」

「おー!!!」


―ダダダダダッ!!!!


「待ちなさい!!!!しばいてさしあげます!!!!!」


きゃー!!!!!
怖いよう!!!!


そのままシェスとアルから逃げる事になった。