「…なら質問を変える。お前はルチアか?」
「…え……?」
ルチアなんて伝説でしかないって言ってたのに…
「洞窟で、お前が光った所を見た。ルチアでなくても普通じゃありえない力を持ってる…違うか?」
「それ…は……」
見られてた?
どうしよう…
なんて言い訳すれば…
「キャアアアアアッ!!!」
「!!?」
「!!?」
誰かの悲鳴が外から聞こえた。
「な、何!?」
「チッ…魔物か!!!お前はここにいろ!!」
そう言い残して窓から飛び降りた。
「え…ここ2階!!!」
慌てて窓から下を見下ろすと何事もなかったかのようにロイが武器を構えている。
―バタンッ
「ロイ!!!」
今度はシオンが部屋に入ってきた。
「あれ、花音!?ここロイの部屋…って!!今はそんな事言ってる場合じゃなかった!!ロイは!?」
「えと、窓から飛び降りた…」
窓を指さすとシオンはホッとしたような顔をする。
「よかった、これで大丈夫だな」
…え?
何が大丈夫なの!?
「に、2階から飛び降りたんだよ!?」
死んでるよ!?普通!!
「あぁ、花音は知らないのか。俺達はシオ一族って言われててな、並外れた身体能力を持ってるんだ」
並外れたって…
外れすぎだよ!!!
忍者みたいだった!!!
「シオ村の人間は獣人の血が流れてる。まぁ、今じゃ人間の血の方が濃いからあいつほど高い身体能力を持つ人間はいないけど、あいつは獣人の血が濃く残ったんだな」
獣人……?
初めて聞いたな。
シオ一族…そんな一族がいるんだ…
「魔物と戦えるのはあいつくらいだよ」
「そうなんだ…」
なんか、まだまだ私の知らない事がこの世界にはあるんだ。
シオ一族…
獣人の血を引いた高い身体能力を持つ人達…
「シオ村を離れられないのは、俺達がシオ一族だからってのもあるんだ」
「人とは違うから?」
「あぁ。外見は同じでも、俺達は人間より丈夫だし、身体能力も高い。普通の人間からしたら脅威になるからな」
人と…違う……
私と同じだ。
不思議の力を持つだけで利用されたり、命を狙われたり…
「シオ一族にとってシオ村は唯一の居場所なんだね」
「ま、そういう事だな」
そっか……
私にも分かる気がする。
私も、この力があっても傍においてくれる二人が私の居場所だから…
「なんだ、話したのか」
「わぁっ!!」
いつのまにか窓に腰を下ろすロイがいた。
「そんな驚く事か?」
「お、驚くよ!!!って血が…」
ロイの体は血だらけだった。
「俺の血じゃない。…だから大丈夫だ…」
「…え………」
それってどういう……


