ルチア―願いを叶える者



―コンコンッ

「あ…はい……」


誰だろ、こんな時間に…
時計を見れば夜の11時を回ってる。


「入るぞ」


そう言って入ってきたのは…


「ロイ…?」

「あぁ、明日の事……お前!?」


何かを言いかけたロイが慌てた様子で私の腕を掴んだ。


「?」

「この腕、どうした!?」


ロイに言われて思い出す。


あ…腕怪我したんだった。気づいた途端痛みだす。


「血だって出てんじゃねぇか!!何があった!!」

「え…何も…」

「んなわけねぇだろ!!こっち来い!!」

「え、わっ…」


腕をつかまれたままどこかに連れて行かれる。



「ここ座れ」


ロイに腕を握られたまま連れて行かれたのは、ロイの部屋だった。


ロイのベッドに素直に腰を下ろす。



「ロイ?」

「腕出せ」


有無を言わせない勢いだったので素直に腕を出した。

「う、痛っ…」

ロイは傷口を消毒する。


「…ぷっ…あははははっ!!んだその顔、傑作だな」


痛みを必死に我慢していた私の顔が相当面白かったのか、ロイは笑いはじめた。

「ひどい!!」

「お前が変顔するから悪いんだろーが」


それからこれでもかってくらいに笑われて手当が終わった。


「ロイって何歳なの?」

「なんだ急に」

「気になったから…」


同じ歳くらいに見えるんだけど、違うのかな?


「18だ」

「えぇぇっ!!?」

「な、なんだよ」

「私より年下!!!」


ありえない!!
見えない!!


「嘘だろ…。ありえねぇ…」

「ありえないって事はないと思う!!」

「どっからどう見たってお前のが餓鬼だろ」


ひどい……
アルとは違うタイプの毒舌だ…


「それで、その怪我はどうした」

「あ……」


隣に座るロイが真剣な顔で尋ねてきた。


なんて話せばいいんだろ…
ルチアの事は言えない。
言ったらこの人を巻き込む事になる。


「ごめんね…話せない。助けてもらったのにごめんね…」


それに、この国がおかしくなったのはルリのせいだ。


もっと早く救えていたら、犠牲も少なかったかもしれない。


この国のように、私の知らない所で助けを求めている国が他にもあるんだ。


立ち止まってちゃいけない。それには早く二人を探さなきゃ。