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「花音は旅人か?」
「え、あ…うん…」
旅人…といえばそうなんだろうけど…
今は下手な事言えないよね。
「女の一人旅なんて危ないぞ!!」
「あ……私、一緒に旅していた人がいたんだけど、途中ではぐれちゃって…」
二人共…大丈夫かな…
「そうだったのか…。なら明日王都までロイに送ってもらったらいい。ここには人が寄り付かないからな」
それって……
魔物が出るから…だよね。
「王様は、この村の人達をどうして助けないの?避難させる事だって出来たのに…」
「あぁ…知ってたんだな、この村の事…」
シオンは悲しげに天井を見上げた。
「避難しろとは言われてたんだ」
「…え…………?」
ならなんで……?
「それでも、ここは俺達の故郷だ。魔物が出ようが、どんなに地が荒れようが…な」
故郷………
どんな姿でもシオンやロイ達にとっては大切な場所なんだ。
簡単に捨てる事なんてできなかったんだね……
「故郷を離れられなかった奴らは今もこうして死と隣り合わせに生きてる。これがこの村の現状だ」
「そんな……」
私だったら…
ルアーネを故郷と似たように思うのかな。
私がいた世界には私の居場所なんかなくて、私一人消えたくらいで変わりなく時は流れる。
私の死を、悲しんでくれる人なんていない…
でも、ルアーネには、シェスやアルがいる。
二人なら、私の死を悲しんでくれる気がするから…
私の居場所であるルアーネは私の故郷なのかもしれない。


