ルチア―願いを叶える者



「ロイ!!!!」


村に入ると、ロイと同じくらいの少年がこちらに走ってきた。


「あぁ、シオンか」

「あぁ、シオンか…じゃないだろ!!!」


走ってきたかと思えば怒鳴り出した。


「お前が昨日帰って来なくて…心配したんだぞ!!!」

「俺が簡単に死ぬわけねぇだろーが」

「でもな…って……え?」


二人の会話を呆然と聞いてると、シオンと呼ばれた少年が私の方を見た。


「え、女の子!?おまっ…今回の獲物は女の子か!?」

「あぁ、花音だ。よろしく」

「は!?よろしくって…」

「じゃーな」


そう言ってロイは片手をあげ家の中に入ってしまった。


「あ……えと、花音だっけ?」

「あ…うん。シオン…だよね!」


なんとなく握手を交わす。


「とりあえず、家に入りなよ。こっちだ」

「あ…うん!」


シオンの後を追い、私は家の中へと入った。