ルチア―願いを叶える者



「あり…がと…う…」


力を使ったせいだ…
こんなに頭が痛いなんて…


「いいから寝てろ!!別に、急いでるわけでもねぇし」

「で…も……」


行かなきゃ……
アルの所に………


あそこにシェスの姿はなかった。


ならシェスはどこに…?


あぁ…アルはまだあの霧の中をさ迷ってるのかな…


「行かな…きゃ……」

「あ??行くってどこにだよ。そんなふらふらで」


ふらふらなのはわかってるけど…


「私を…待ってる人達が…いるから…」


大切は人達を……
守らなきゃ……


「馬鹿か、そんな状態でどこに行こうってんだよ!!」


立ち上がった私の肩を少年が掴んだ。


「…なら…せめて……」


アルを助けなきゃ…
きっと…まだ迷ってる…


「ル…ア…の力…よ…」


体が金色に輝き出す。
ルチアの力で救えばいい…


「な、んだこれ………」


二人を…
私の…大切…な……


「お前…何して……」


私の…願いは………


『いけない…』

「っ!!!!」



―パリンッ


光が私の体から弾け飛ぶ。

「…う…ぁ……」


体から力が抜けていく…


「おい!!!」


膝から崩れ落ちそうになった私の体を、少年が抱きとめた。