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―ウルセウス国
―シオ村


「ロイ、今日はどこまで行くんだ?」

「あ?まぁ今日は雨も降りそうだしな、遠くまではいかねぇーよ」


ロイと呼ばれた少年ロイ・カートンは18才という若さで盗賊として名を馳せていた。


ロイは赤髪の前髪をかきあげ、そろいの赤い瞳を空へと向けた。



「それにしても、お前も盗賊、霧風なんて有名になったもんだよなぁ」


親友であるシオンが誇らしそうに笑う。


「お前、なんか嬉しそうだな」

「この村にとってお前は誇りなんだよ。お前の存在がこの国に対する唯一の抵抗の証だからな」


抵抗の証…か……


まぁ、俺はそんな大層な事考えて今まで盗賊やってきたわけじゃねぇから良く分からねぇけど…


俺がこの国に負けたくねぇのは本当だ。


魔物の発生がこの村を中心に起こっているとわかった瞬間、この村を捨てた国王を許しはしない。


「行ってくる」

「気をつけろよ、絶対に死ぬな。約束だ」


シオンはいつもそうだ。
俺に死ぬなと約束をとりつける。


だから俺も、破ってしまうかもしれないとわかっていて約束する。


「あぁ、約束だ…」


そうして俺は村を飛び出した。