『僕も…君と出会えた事がなによりの幸せだったんだ』

「…私、あなたに何もしてないよ?何も返せてない」


そう言えばルカは少し笑ったような気がした。


『ふふっ…。君は、僕がどれだけ君の存在に救われたか知らないんだろうね…』


私の…存在に……?
私、助けられてばかりなのに、少しでも役に立ててるなら嬉しい…



『さぁ、花音。ここから抜け出そう』

「え…?ここから抜け出すってどうやって…?」


鉄格子の隙間は細すぎて通れないし…


『願うんだ…』


あ…
まさか、ルチアの力を…?


『今ここで彼等に捕まれば、もう二度と自由にはなれない』


そんな…
そんなの絶対に嫌っ…


『代償は大きいけれど、花音が貫きたい願いの為にはここを抜け出さなきゃ』


私の貫きたい願い…


「うん、そうだね…」


私は私の大切な人の世界を救うんだから…


「ルチアの力よ…」


私が私の道を歩めるように。決して道が閉ざされぬように…


「私が在るべき場所へと帰して!!」



―パアアアアッ!!!!


光が瞬き、花びらが舞ったのが見えた。


―ドクンッ


「うっ…」


心臓が大きく脈打つ。


私………
駄目だ…もう………


―プツンッ


そこで意識を手放した。