「あ、大丈………」

『この時のはざまでは君の願いは届かない。だから、僕が一瞬だけ元の時空の扉を開こう。そうしたら君の願いは必ず届くよ』


…うん……
私、願うよ。


ルカ、力を貸して!!


『もちろんだよ…僕の大切な人…』


―ヒュオオオオォォッ!!


「わっ…」


風が物凄い勢いで吹き荒れる。


「これは!?花音、こちらに!」


アルが私を抱き寄せた。


「大丈夫だよ、アル。この風はルカのだから」


大丈夫、ルカが元の時空の扉を開いてくれる。


「ルカ…さんですか。一体ルカさんは何者なんです…?」

「え…?ルカはルカだよ。私の大切な人」


「…姿がなくても…ですか?」

「え………?」


アル、何が言いたいの?
どうして怒ってるの?


「あなたが言う大切な人は、あなたを守る力があるのに今まで力を貸さなかった。気まぐれにもほどがあります」


「そんな、ルカはいつも私を助けてくれるよ!!」


気まぐれなんかじゃない!!私には分かる。
いつでもルカが私を見守ってる事…


「なら、どうしてあなたが時をさ迷っているのにすぐ助けなかったんです?」

「ルカだって、人間だもん。いつでも助けられるわけじゃない!!」


アルには分からないよ!!
ルカがどれだけ私の救いになっているかなんて…


「人間?どうだか、風を起こしたり、人並み外れた力を持った者が人であるはずないですよ」


―ズキンッ


人並み外れた力…
人であるはずがない…


「じゃあ……」


じゃあ、私は……?


「私は、人並み外れたルチアの力がある…」

「!!!!」


それを聞いたアルは失言だったと動揺していた。


「私も…人間じゃない…?アル、そういう風に思ってたの…?」


アルがそんな事思う人じゃないってわかってる。


でも、今は胸が苦しい。
わかってるけど、信じられなくなる。


「違っ……」

アルは私に手を伸ばした。


―パチンッ

私はそれを振り払う。


「…っ………」


無意識だった。


でも、もう止まらない。
涙だって溢れてる。


すごく、悲しい…