ルチア―願いを叶える者



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「……どうして…」


私はどうしてこんなにも無力なの…?


あの人、泣いてた…
泣いていたのに…


暗闇をさ迷いながら、私は自分の体を抱きしめた。


そうだ……
今からだって遅くないはず。


「願おう、あの子の為に。…ルチアの力よ」


あの牢獄に捕われたあの人を…


「牢獄から救い出して!!」


そう叫んだ。
あの人に届くように…


なのに………


「…どうして……?」


力が使えない。
なんで………


「お願い!!!叶えて!!」


あの人を助けなきゃ!!
ずっと孤独なんて…


「どうして…どうしてよ!!!」


涙がボロボロと流れる。


「あの人は私のっ…私…の……?」


今、私はなんて…?
なんて言おうとしたの…?


―ズキンッ


「…あっ…痛いっ……」


頭がズキズキと痛む。
そういえば前にもこんな事があった。


何か、記憶の淵を呼び起こすような感覚…


忘れてしまった大切な記憶…


『私と…』

「あなたは…」


声が聞こえる…
あの人の声………



『対の魂…』
「対の魂…」


対の…魂………?


あ…また頭が痛い…
何故か眠気も襲ってきた。


私……
一体どうしてしまったの…?