ルチア―願いを叶える者



『汝の深く強い願い…』

『…え………?』


声が聞こえた気がした。


振り返ってみても人の気配はない。


気のせい…?


『ルチアよ…』

『!!!!』


まるで闇へと誘うかのような冷たい声。


『望むか…ルチアよ…』


心を縛るような、飲み込まれていくような感覚…


『望む…?』

『お前が憎む全てのものに罪を…』


私が憎む全てのものに罪を…


『何も知らぬ無知で愚かな人間に滅びを』

『滅びを…』


何故か何も考えられなくなる…


心が、体が冷たくなっていくのを感じる…


『…………私は望む…』


涙が頬を伝う。


私は…違う……
これ以上汚れたくない…


『この世界に…生きとし生ける…者…全てに…』


嫌………
やめて…やめてっ……


『…復讐…を……』


―ピカアアッ


『キャアアアアアアァァ!!』


私は叫んでいた。
意味もわからずただただ叫んでいた。


体から感覚の全てが消えていくのを感じる。


―ポタン

涙が流れていた。



私…は………
兄さん……………



そして意識を手放した。