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『行ってしまったみたいね…』
また、牢獄に一人ぼっち…
あの女の子、不思議な存在だった。
温かくて、でもどこか懐かしい…
ルカと似た真っ白な魂…
どうかあの子の魂が真っ白なままでありますように…
暗闇に迷う事のありませんように…
『名前…聞いていなかったわ…』
でも、もう出会う事はないのだろう。
私にももう、時間がないのだもの。
力を使い、命を削りすぎた…
兄さん……
私が生きてる間にあなたに会う事は叶わないのでしょうね…
国王が兄さんを捕らえているという話も、嘘かもしれないけど…
本当かもしれない。
そうしたら、兄さんも殺されてしまう。
ルチアの力さえ半分に分けた双子の兄さん…
あなたを失う事が何よりも怖い…
『なんて絶望に満ちた醜い世界なの…』
私達は何も知らずにこの異世界に召喚され、離れ離れになって…
『こんな力なんか望んでなかった。ただ兄さんと一緒に暮らせていたあの時間があればそれだけで良かったのに…』
なんて神は残酷なんだろう…
力を望んでいる人間は沢山いたはずなのに、どうして私を選んだのよ…
世界が憎い。
私を利用し、兄さんを苦しめる国王が憎い。
何も知らずにのうのうと生きる人間が憎い!!!
『あっ…私っ………』
こんな事考えたくない!!
私はどんどん醜くなっていく…
こんな私なんて……
消えてしまえばいいのに…


