『私には、兄がいたわ。でも、兄にはもう会えない…』
「そんな……」
『私は、多くの人間を殺してしまった…』
殺して………?
耳を疑った。
でもとっさに気づく。
この人が望んだんじゃない。きっと、命従の力のせいだ。
だって……
泣いてる。
この人、ずっと泣いてる…
『あぁ…私はもう汚れている。血に染まった私を、誰が許すというのかしら…。私を恨む人間が沢山いるというのに…』
絶望……
何も望んでいない、そんな目をしている。
「あなたは何もわるくないのに…」
『優しいのね…』
少女は悲しげに笑った。
あ………
この笑顔、誰かに似てる…
誰だっけ……
思い出せないや……


