「ビラーは、二年前から時が止まったままなの」
「そんな!!じゃあ二年前、突然時が止まったんですか!?」
「…違うわ。最初は時が狂って、正確な時の流れが分からなくなったわ。それでも、止まりはしなかった」
時が狂う……?
ルチアの力、そんな事まで出来てしまうの…?
そう思うと、自分に与えられた力がどれほど恐ろしいかが分かる。
手に余る力……
大きすぎるよ………
「外の世界と、ビラーの時の流れが違うせいで国を出る事も出来ず、ただただ石となるのを待つだけだった」
国を出る事ができなかった…?
でも、メル様は国の外に…
「そんな時、声が聞こえたの…」
「…声……?」
メル様は頷く。
「君を、国を救いにルチアがくる。君の願いを必ず叶えてくれる…と」
「それ…もしかしてルカかもしれない」
何となくだけど、ルカな気がした。
「わからないけれど、その声が聞こえた瞬間、光が瞬いて、気付いたら私は国の外にいたわ」
そんな事が………
「でも私、さっきは力が使えなくて…」
今の私じゃ……
「…時の停止のせいか?」
「え…?」
「時間が止まっているせいで、ここで起きている事象全てが生じないのかもしれません」
それじゃあ…
私の力はここでは使えない…
「国の外に出たらいいんじゃないかしら」
メル様の言う通りだ…
だけど…
「出れない…と思う…」
私の言葉にみんなが口を閉ざした。
「そうだろうな、ここにいる時点で俺達の時も止まる。出るのは不可能だな」
「それに、ルリが言ってた。私達は時の迷い人になるって」
時をさ迷って、いずれ…
いずれ私達は石になってしまう…


