ルチア―願いを叶える者



「…つっ…これは…痛いな…。肩からざっくり斬られてる…」

「!!!!!」


今度はシェスがよろよろと体を起こした。


「…シェス!!!!」


―ガバッ

「ぐはっ!!!」

―ドスッ


シェスに抱き着いた。
その拍子にシェスはまた地面に背をついた。


「…おぉ、花音…。ちょいとばかし積極的すぎないか」


シェスは笑った。


「シェス、ちゃんとあったかいっ…」


シェスの頬をベタベタ触ると、ちゃんと温かかった。

「おうおう、泣くな」


シェスは私の頭をポンポンと撫でた。


「なんてことない。少し気を失っていただけだ」

「あ………」


アルと同じ事言ってる。
私を気遣かって…


「うん…よかった……」


あったかいこの人達が生きていてくれて、本当に…


「姫様も気を失っているだけのようですね」


アルがメル様を抱えて私の前に横たわらせた。


「メル様っ………」



私の事、守ろうとしてくれた。優しい人…


「メル様…ありがとう…」


目を覚ましたらもう一度言おう。


ありがとうって……