ルチア―願いを叶える者



「私は…あなた達に何があったか知らない。でも、何があったとしても、ルカは誰も責めなかった!!傷つけたりしなかった!!」


そのかわりに自分を責めてた…


「弱いのはあなた!!力があれば復讐だってできた、傷つける事も出来たのにしなかったのは、ルカが憎しみよりも命を大切に思ったから!!そんなルカが…」


人の痛みを知ることが、感じる事ができるそんなルカが…


「弱いはずなんてない!!」


ルカを蔑む事は許せない。私の大切な人…


優しくて強くて…
私に新しい世界をくれた人…


「何も知らない小娘が!!ルカが強くて私が弱いはずない!!今だってルカは自分の意識すら保てないじゃない!!」

「違う…」


違うんだよ、ルリ…


私が言いたいのはそんな目に見える力じゃない。


どうして伝わらないの…


「煩わしいわ!!!その力、奪った後に魂ごと粉々にしてあげる」


ルリの右手に力が集まっていくのが分かる。


「穢れしルチアの力よ、彼の力を奪い、滅せよ!!」


「っ…嫌っ…!!!」


力が私に触れそうになった時―


―ビュオオオォォォッ!!!


「何!!?」


突風が私を守るように吹き荒れた。


「あ…ルカ…なの…?」



声は無い。
それでもルカなんだと思う。

守ってくれている…
私を……


「くっ…まぁいいわ。あなた達がここへ踏み込んだ瞬間から、時の迷い人となった。そしていずれ………」


―グワンッ


また空間が歪み、ルリは姿を消した。


―ドサッ

私を拘束していたものも消え、私は地面に落とされた。


「痛っ…」


私は痛む体も無視して、倒れているみんなに駆け寄る。


「…アル、シェス、メル様…」


お願い…返事して…


「喋って…お願い……」


アルの手と、シェスの手を握ってみたけど、反応がない。


「メル様…」


メル様の頬を触ってみたら、冷たかった。


「死んじゃったの…?」


私はお医者さんじゃないから分からない。


でも………


「冷たい……」


嘘だよ…そんなの……


頬に暖かい何かが流れた。それが涙だと理解するのに少し時間がかかった。