『ルリ…。確かに人は愚かで浅はかだ。私欲に塗れ、僕達の力を欲した。…でもね…』
人は愚かで浅はか…
優しいルカから、初めて黒い言葉を聞いた。
ルカ…
私、ルカの事を何も知らないんだな…
『僕達もまた、何にも抗えない脆弱な人間、この力を、使わない事も出来たんだ』
「あ…」
ルカと最初に出会った時、ルカは望んでた。
"願わないルチア"を…
それは、ルチアだったルカが願いを叶えた事で招いた不幸が原因なんだと思う。
それほどまでにルカは願った。
ルチアにも、その他の人間にも不幸になんてなってほしくないから…
『人には欲がある、だからこそ願ってしまう。でもそれは…愚か…事で…は…』
「…ルカ………?」
ルカの声が聞き取りづらくなった。
なんで………
「ルカ、あなたもおかしくなったのね。もういい…誰も信じない、期待なんてとうに捨てたわ」
ルリは私に右手を向けた。
「勘違いしないで。弱いのはあなただけよ。私は今、抗う力を持ってる。世界を意のままに出来るくらいに」
弱い………
ルカが弱い……?
一人ぼっちの私を抱きしめてくれたあの人が。
自分の弱さをちゃんと未来に繋げられるあの人が…
「弱い…はずない…」
「なんですって?」
ルリは不機嫌そうに私を見る。


