―フワッ
『泣かないで…』
「…え………?」
風が涙に濡れた頬を優しく撫でた。
この風………
私知ってる………
「…まさか……」
少女は目を見開いた。
『久しぶりだね、ルリ』
懐かしい私の大切な人。
ルカの声だ。
「ルカ……」
『花音、僕の可愛い子…。泣かないで、僕が君の願いを叶えるよ』
風がまた私の頬に触れた気がした。
「ルカ、あなたも私の邪魔をするというの!?どうして!!あなただって私と同じはずなのに!!!」
ルリは悲鳴を上げるように叫んだ。
ルリ…
なんだか泣きそうな顔をしてる。
私の大切な人達を傷つけた酷い人のはずなのに…
ルリ……
あなたを見ていると、何故か悲しい気持ちと懐かしさが溢れてくる。
私…ルリとどこかで…?


