「じゃあ帰ろうかっ。」七海が言った。
「「そうだね。帰ろっ。」」

私たち3人が帰ろうとすると、先生が「杉野!」と私を呼んだ。

「なに?」

「今日1位をとれたのは杉野のおかげだよ。もしおまえが抜かしてなかったら俺は山口先生を抜かすことはできなかった。ありがとなっ。」と私の頭をポンポンと撫でで、私が何か言おうとすると、すぐ立ち去ってしまった。


嬉しかった。しかもさりげなく撫でてくれるなんて。ちょっとでも特別になった気分で。

「またにやけてるよ、愛梨!」

「だって嬉しいんだもん。」

「愛梨ったら~。」

何気ない先生の言葉や行動がわたしの鼓動を速くさせる。
気づいてないよね?私がこんなにもキュンキュンしてること。

でも気づいてほしくないけど、どこかで気づいてほしい自分がいる。
矛盾してるけど。

ほんの少しだけ、ちょっぴりでいいからこの気持ち気づいてほしい。