夏色ファントム


「……別に怖くない。ただ驚かしただけ」

「……え?」

すぐ近くで凛の声がする。
俺は恐る恐る目を開けた。

さっきのような血塗れの姿ではなく、いつも通りの凛が口を尖らせていた。

「……そんな怖がることないでしょ」

「怖いものは怖い。お前は幽霊だってことを自覚しろ」

「そうだね」

彼女は口許に手を当て、小さく笑った。
何かカワイイ。
何だかじーちゃんが羨ましい。

凛は晴れ晴れとした顔で俺を見つめる。

「……正幸(まさゆき)さんによろしくね」

「あぁ」

彼女はもう一度優しそうに微笑むと、光に包まれ消えていった。

今度こそ、本当に成仏できたんだろうな……