夏色ファントム


バチンと鋏が音を立てる。
注連縄が足元に落ちる。

「……五本目」

凛が静かに言った。

息を切らし、額の汗を拭う。
ずれ落ちる眼鏡を上げ、俺は凛を横目で見た。

相変わらず、彼女は静かに佇んでいる。

何ら変わらない様子でいる姿を、俺は唖然としながら眺めていた。

え?成仏しないの?

呆然とする。
そんな俺の耳をおじさんが引っ張った。

「痛ぇよ!離せっ!!」

「いいから!こっち来なさい!!」

俺は引きずられていった。

祠の方に視線を向けるも、そこに凛はいなかった。

アイツ……助けてくんないのか!
俺頑張ったのに!