慣れた手付きで扉を開き、揃って中へ入るとすぐに店主らしき人に声を掛けられた。 「あれ、明日香ちゃん、今日はお友達も一緒?」 優しそうなおじさんに笑顔を向けられ、俺は軽く会釈をする。 その横で新山先輩は少し首を傾げたかと思うと、真顔でとんでもないことを口走った。 「えっと……未来の旦那さんかな」 思わず吹き出す俺には構いもせず、驚いた顔を見せた後に笑いながら「そうかそうか」と返す店主に、笑顔を返した彼女は、何事もなかったかのように店の奥の空席に着いた。