「ごめん、癖だ。まだ、だったね」 離した右手に視線を移しながら言うところを見ると、いきなり手を繋いでごめん、と言うことだろうか。 彼女の言葉の意味が理解出来なかったが、そんなことを気に留めた様子もなく、先輩はまた歩き始める。 「ちゃんとついてきてね!」 今更それを断る理由もなく、俺は左手に寂しさを感じながら、先輩の後について行った。 そして程無くして着いた場所は、学校から然程距離のない場所にある、小さな喫茶店だった。