運命を変えるため。


 その後、俺はやや急いで帰る支度を整えると、新山先輩に言われた通り、素直に校門へと向かった。

 見ず知らずの人間からいきなり呼び出されたわけだが、何故か足取りは重くならなかった。
 それどころか、何かわくわくするような出来事が待っているようで、俺の足と気持ちは校門へと急いでいた。

 朝とは対照的に、校門からは多くの生徒が思い思いの方向へ散らばって行く様子が見られた。
 上級生も半日で帰宅するようで、このまま友人同士で遊びにでも行くのだろうと思われる制服を着崩した集団も多い。

 そんな中、校門の前にもたれ掛かるようにして、明らかに人を待っていると言う雰囲気を醸し出している、ポニーテールが目に入った。
 恋人と待ち合わせをしているかのような錯覚に陥り、誤魔化すように一つ咳払いをした。