そんな時間を突如揺るがしたのは、部屋に小さく響く電子音だった。音を響かせるものの正体は、明日香の携帯。 明日香は慣れた手付きで携帯を操作する。 メールの着信を知らせる音だったのだろう。 明日香から視線を外し、葉を揺らす花達を視界に捕えたところで、彼女の口から言葉と呼ぶには些か頼りないものがこぼれた。 「え……?」