「ボールの音を聞いただけでも 嫌になる。 シューズが床に擦れる音でさえも。」 彼女は俺の足元を見ながら ポツリポツリと言葉を告げる。 「バスケは…。」 彼女はそこまで言うと ハッと何かに気づいた様子で 言葉を止めた。 ……今。 何を言いかけた? 「……とにかく。 もうチラシは入れないで下さい。 あたしはバスケ部には入りません。」 《ガラッ》 彼女は最後にそう言って、 体育館を出て行った。