「香夜!開けろ!香夜っ」

俺は香夜の部屋の扉を叩きながら叫んだ。

カチャッと、小さな音をたてて、少しだけ扉が開く。

「なにか用?嶺夜」

その小さな隙間から、微かに此方を見てそういった香夜。

俺は返事をしないで、その隙間に手をかけて無理矢理に開ける。

「話があるんだ。無理矢理はいられたくなかったら、おとなしく開けやがれ」

「本当はそんな口調なのか」

当たり前だろう??
俺は金持ちでもなければ、いいところで育ったわけでもねぇし。

「とっとと開けろ、ばーか」

フッて笑いながら言う。

「っ・・・」

そしたら、目をそらされてしまった。

髪に見え隠れする耳が、赤いのは気のせいか?