昨日は結局家まで先輩が送ってくれた。

 帰り際に「また明日な」って言ってくれたのがすごく嬉しくて…

 あたしも手を振りながら「はい、おやすみなさい」って言ったんだ。

 
 「ふふー」

 「なによ気持ち悪い…」

 朝からニヤニヤしっぱなしのあたしに真由は少し引き気味。
 でも、そんなこと気にならない!

 朝、先輩に会ったら、先輩が笑いながら手を振ってくれたんだ。

 話させてなくても、先輩の気持ちが伝わってくるみたいでドキドキした。
 
 昨日あったことも今朝の事も真由には全部話してある。 

 それから、昨日先輩のところに行った理由を聞いていた。

 真由はやっぱり昨日溜まっていた先輩の中の一人に告白しに行ってたらしい。

 「でね!告白したの、したら…うん真由ちゃんてかわいいから全然良いよって言ってくれたんだよ」

 腕をぶんぶん振りながらハイテンションの真由。

 でも、ノリがなんとなく軽い気がするんだけど…

 まっいっか! 真由が良いならそれで良し!!
 

 「そうなんだ…良いね高校入ってすぐに彼氏できるなんてさ」

 素直にそう思う。

 あたしなんて昨日初めて先輩のこと名前で呼べたのにさ
 
 もうすでに彼氏になっちゃうなんて…うらやましすぎる……。

 あたしは朝、自動販売機で買ったオレンジジュースを啜った。

 その時、ドアの方が騒がしい事に気がついた。

 なになに…?

 あたしと真由は身を乗り出してドアの方を見るけど女子が集まりすぎて…肝心の人が見えない…。

 あきらめて椅子に座りなおそうとした時

 「芽衣歌ー嬉しいお呼び出しだよ♪」

 へ?

 口に含んだジュースをこぼしそうになる。

 「だ、誰!?」

 むせ気味になりながら小走りでドアのほうまで行った。

 女子を掻き分けてようやくたどり着いた先には、春樹先輩がやや怒り気味で腕を組みながら立っていた。

 「先輩…」
 
 何で…ここにいるの?

 「遅い」

 「え?」
 
 ボソッと一言それだけ言うとあたしの手を引いて歩き始めた。

 「え? 先輩?」