その時、


 あたしは今夜帰れないと思った。


 先輩は今、どんな気持ち…?


 あたしは今、なんとなく不安だよ…


 なんでかはわかんないけど…



 「こっちおいで?」


 ダブルベッドに寝転んであたしを手招きする。



 「え、え…」


 戸惑いながらもあたしは、先輩に近寄った。


 すると、


 腕をグイッと引っ張られた。


 視界が歪んでベッドに倒れこんだことはわかった。


 反射的につぶってしまった目を開くと、


 目の前には先輩の顔があって、


 あたしは先輩の上にいるってことがわかった。



 ギュッと抱きしめて離してくれない。


 そして、口元を近づけて


 「誕生日、おめでとう…」


 囁くような言葉が嬉しくて…

 
 さっきまでのドキドキがどこかにいったみたいだった。

 

 そして、



 「さっきの続きしよっか」


 甘美な声が耳に響いてあたしの胸を震わせる。

 
 あたしは頷く事も否定する事もできずにいた。



 それでも、いやではなかった。