「ん、わかってる」


 それを先輩は受け止めてくれて…


 それがまた嬉しくて、


 あたしはまた泣いてしまった。


 「芽衣歌、顔上げて」

 
 先輩の言葉にあたしはゆっくり


 顔を上げる。


 涙で滲んだ先輩があたしを見つめてくれていて…


 数秒後にあたし達の唇は重なった。


 
 いつもとは違って涙の味がしてちょっとしょっぱかった。


 「ん…」


 いつもより唇を押し付けてくる先輩。


 それを受け止めるので精一杯のあたし。


 誰もいない屋上にキスの音が響いて


 妙に意識してしまう。


 自然に出てしまう声が恥ずかしくて


 声を押さえようとする。


 「……っ」


 「声、押さえんなって」


 だんだんキスの位置が下がって、


 鎖骨のところにくると


 小さく痛んだ。