川崎 芽衣歌 高校1年生。


 
 「はああああ…」




 「何、またため息なんてついて」

 



 向かいにいる友達の朝倉 真由に呆れ顔をされる。

 だって、良い事がなんにもないんだもん…
 好きな人もいないし。

 「ため息ばっかりだと幸せが逃げるよ?」

 「んーー」

 「あー!ジュースなくなった買いに行こ」

 えー? また!?
 昼休み始まったばっかなのにもう3本くらい飲んでるよね…。


 めんどくさそうな顔をするあたしをよそにすばやく空のジュースを捨ててきて、行く気満万の真由。

 「ほーら、行くよ」

 そういいながらあたしの手を引いて歩き出す。
 あたしはよろよろしながら真由に着いていく。

  ドン――

 「いった…」

 教室から出ようとした時ドアのところで誰かとぶつかった。
 
 「ごめんなさい…」

 あたしはぶつけた顔を押さえながら顔を上げた。
 その瞬間に相手の人と視線がぶつかった。

 同じ学年じゃない…よね…?

 見たことがない顔に固まってしまった。
 
 「ダイジョブかー?」

 そんなあたしの顔を除きこんでくる。

 「は、はい…大丈夫です…」

 あたしは俯きかげんになりながら答えた。

 だって、この人すっごいイケメン…!
 
 「芽衣歌ー?」

 遠くで真由が呼んでるのが聞こえてハッとして、急いでその人の横を通りすぎようとした時、

 「あ…」

 何かを言おうとしたのがわかった。
 でも、あたしは何も言わずに通りすぎていった。

 誰だったのかな… さっきの人…
 さっきからあたしはその事しか頭にない。

 「よし」

 あたしが頭を悩ませてる時、真由が言った。

 「行くよ!2年生のトコ」

 「は?なんで?」

 あたしの言ったことなんて聞こえてないかのように足を進めて行く真由にあたしはついていくしかなかった。
 
 2年生の所にきた真由は足を止めた。

 あたしも同じく足を止めて、真由を見ると、真由はある1点を見ていた。
 真由の視線をたどると、何人かの男子の先輩が溜まっていた。

 背がみんな高くて、結構カッコイイ人が多い…

 でも、顔はここからじゃわからない…