《短編》空を泳ぐ魚2

「卒業祝いだし、どっか食いに行こうよ!」


夜になって俺の家にやってきた清水に、

初めての外食を持ち掛けた。


夏休みには確かに一緒に出掛けたりもしてたが、

わざわざ少し遠方を選んでいたし。


だけどもぉ、俺達は何も気にすることはないのだ。



「…その前にさぁ、話あるんだけど。」


「どした?」


浮かれて俺は、腕を組む女王様に首をかしげた。


きっと、改まってお礼でも言いたいのだろう。



「別れよ。」


「ん?」



聞き違いだろうか。


お礼の言葉…



「だから、別れようって言ったの!」


「…えっと、何故?」


「“ずっと”とは言ってないでしょ?
卒業出来たんだし、別れたいから別れるの!」


耳を疑った。


確かにこれなら、“嘘をついた”とかにはならないけど。



「…いや、ちょっと待てよ…」


「何?」


俺を睨む瞳に、言葉が出なくて。



「…旅行は?」


「そんなの、付き合ってなくたって行けるでしょ?」


「…白タイツは?」


「それを探すから、アンタと付き合ってる暇ないの!」



ごめん、何で?