「つーか、腹減らね?
どっか食いに行こうよ。」


未だベッドに寝転がったままの清水は、

グッタリしてるのかゲッソリしているのか。


怒った顔が可愛いく俺をソソってることなんて、

きっと気付いていないのだろう。



「…二人でなんて行けるわけないじゃない。」


「何で?
別に誰かにバレたって関係ねぇじゃん。」


俺の言葉に清水は、眉をひそめて体を起き上がらせて。



「…何言ってんの?」


「俺もさぁ、気付いたっつーか?
仕事人間のつまんねぇ男になんかなりたくねぇし、セナちゃんが居てくれるなら教師辞めても問題ないし。」


「―――ッ!」


驚いたように目を見開く清水を横目に、

そのバッグから床に散乱している煙草を持ち上げ勝手に一本を抜き取って。



「…本気で言ってんの?」


「超本気。」


歯で咥えた煙草に火をつけながら、それだけ言った。



「…俺が辞めればお前が卒業してくれんだったら、それで良いんだよ。
仕事辞めることは、人生のうちで大したことじゃねぇから。」


俺の言葉に清水は、戸惑うように視線を下げて。


少しは俺の気持ちも、信用してもらえただろうか。



「…だから、俺と付き合わない?」


「やだ。」


「…即答かよ。」


少し期待していただけに、さすがに長いため息を吐きだした。



「…でも、アンタはあたしの人生で少しは必要なんだって気付いた。」


「―――ッ!」


その言葉に目を見開いて視線を向けようとした瞬間、

清水はその視線から逃げるように俺の膝の上に頭を倒して。


少しだけ、その耳が赤くなってる気がするのは、気の所為だろうか。