「セナ!!」


名前を呼び、目を見開いた。


コンビニの前で震えて抵抗している清水と、その腕をすごい形相で掴む男。


ただ事ではないその光景に、心臓がすごい速さで脈を打つ。



「…助け…」


俺の姿に気付いているのかいないのか清水は、

か細い声でそう懇願して。


その瞬間、男に殴り掛かっていて。


鈍い音が響き男は、瞬間に地面に倒れ込む。


何か奇声を発した男はそのまま、

もつれる足で転びそうになりながらその場から逃げて。


息を切らし俺は、清水に向きなおった。



「…やだ…来ないでよ…!」


手を伸ばそうとした俺にパニックになったのか清水は、

震えながら後ずさって。



「落ち着けよ、俺だから!!」


「―――ッ!」


その瞬間、抱きしめていた。


包み込んだ彼女の体は小刻みに震え、

それがどれほどの恐怖だったかを俺に知らしてめて。


抱き締める腕に力を込めた。


こんなことしてどうなるのかとか、何も考えられなくて。


ただ、無事なら俺にはもぉ、それだけで良くて。




「セナ―――!」


やっと追いついたのか白石は、俺たちを見るなり目を見開いて。


そちらに顔を向け俺は、唇の前で人差し指を一本立てた。



「…岡部ちん、見逃してやるから貸し借り無しな?」


ははっと笑い白石は、俺のとてつもない弱みを握って来た道にきびすを返して。


バレたんだかバレてないんだかわかんないけど、まぁ良いや。