きっともぉ、言い訳の仕様もないのだろう。


大っ嫌い、と。


言われたに等しいのだから。


一瞬にして、教師って立場なんかどうでも良くなって。


そもそも俺は、腰掛け程度で就職しただけだったのに。


クビにしたいなら、すれば良い。


もぉそれで、アイツの姿を探さなくて良いのなら、それだけで良いじゃないか。


教員免許さえあれば、塾の講師にだってなれるし、英語教室だって開けるんだ。



これほどまでに、惨めにひとりの女に執着なんてしたくなかった。


そんな自分が、嫌で嫌で堪らなかった。


いつの間にか体裁ばかりを気にしていた自分も、何もかも。


もっと早く、こんな仕事なんか辞めて、ちゃんと伝えれば良かったんだ。


そうすれば、結果は変わっていたはずだったのに。


理由つけて繋ぎ止めるような真似なんて、しなきゃ良かったんだ。


そんな自分が、一番醜くて。


執着なんて、したくなかったのに…



「…セナぁ…」


気付けば俺は、アイツの名前を呟いていた。


その瞬間、余計に胸が締め付けられて。


体を支えることも出来ずもたれ掛かった本棚から、

先ほど片付けたはずの資料がバサバサと音を立てて散らばった。


きっともぉ、何もかもを取り戻せない。


俺が学校辞めれば、お前はちゃんと授業に出てくれんのかなぁ。


就職なんかどうにでもなるけど、お前はちゃんと卒業しろよ。


俺なんかより、もっと良い男と結婚でもしてさぁ。



そっか…


俺、こんなんだから選ばれねぇんだよ…