「…どこまで引っ張って行くのか知らないけど、俺んちここだよ?」
そう言われてみると、いつの間にやらタクちんの家の前まで来ていて。
ははっと乾いた笑いを向けあたしは、家の中に入るタクちんに続いた。
後ろを振り返るなんて馬鹿なこと、したくなかったから。
「おっじゃまー。」
それだけ言い、何度か来たことのあるタクちんの家の中に入り、
玄関のドアを閉めた。
先ほどのこと、タクちんにどう思われたのか。
それが少し、気掛かりだった。
タクちんの部屋は、男のくせに綺麗に片付いていて。
こんなに完璧な男なのに彼女が居ないなんて、不思議で仕方がない。
「…あたし、タクちんと付き合いたーい…」
そう呟き、その場に腰を降ろして低いテーブルに突っ伏した。
ため息を零したタクちんは、何も言わずにあたしの向かいに腰を降ろして。
「…セナちゃんなら、俺なんかじゃなくてもっと良い人居るはずだよ。」
「ははっ、振られた。」
だけどそんな風に言ってくれるタクちんの優しさを感じて、
何故だか泣きそうになった。
相変わらずタクちんは何も言わず、貸していたCDをテーブルに置いて。
「…そんなこと言うのって、さっきの“先生”が原因?」
「―――ッ!」
どれくらいの沈黙だっただろうタクちんは、諦めたように口を開いて。
“先生”なんて言葉を聞きあたしは、やっぱり息苦しくなって。
「…そんなんじゃ…ないよ…」
それだけ言うのが精一杯だった。
タクちんに振られて悲しいんじゃないことくらい、自分でもわかってるけど。
今は、何も言いたくはなかった。
そう言われてみると、いつの間にやらタクちんの家の前まで来ていて。
ははっと乾いた笑いを向けあたしは、家の中に入るタクちんに続いた。
後ろを振り返るなんて馬鹿なこと、したくなかったから。
「おっじゃまー。」
それだけ言い、何度か来たことのあるタクちんの家の中に入り、
玄関のドアを閉めた。
先ほどのこと、タクちんにどう思われたのか。
それが少し、気掛かりだった。
タクちんの部屋は、男のくせに綺麗に片付いていて。
こんなに完璧な男なのに彼女が居ないなんて、不思議で仕方がない。
「…あたし、タクちんと付き合いたーい…」
そう呟き、その場に腰を降ろして低いテーブルに突っ伏した。
ため息を零したタクちんは、何も言わずにあたしの向かいに腰を降ろして。
「…セナちゃんなら、俺なんかじゃなくてもっと良い人居るはずだよ。」
「ははっ、振られた。」
だけどそんな風に言ってくれるタクちんの優しさを感じて、
何故だか泣きそうになった。
相変わらずタクちんは何も言わず、貸していたCDをテーブルに置いて。
「…そんなこと言うのって、さっきの“先生”が原因?」
「―――ッ!」
どれくらいの沈黙だっただろうタクちんは、諦めたように口を開いて。
“先生”なんて言葉を聞きあたしは、やっぱり息苦しくなって。
「…そんなんじゃ…ないよ…」
それだけ言うのが精一杯だった。
タクちんに振られて悲しいんじゃないことくらい、自分でもわかってるけど。
今は、何も言いたくはなかった。


