「ねぇ、誠。
卒業出来たら、どーすんの?」


「したら、だろ?
不安を煽ること言うなよ。」


いつも通りにバイトの帰り、ライブに出ていた誠に送ってもらう。


不意に聞いたあたしの言葉に誠は、一度前置きをしてから言葉を続けた。



「まぁ、俺が卒業しても、タクちん来年まで専門あるしさ。
タクちんが卒業するまでは、フラフラしながらギターの腕上げるよ。」


“みんなでそう決めた”


そう付け加えた誠に、あたしは何も言えなくなって。


誠の瞳は、強く将来を見据えているのだろう。


とても、見ることが出来なかった。



「それより、問題はセナだろ?
マジそーゆー話したことねぇけど、進路とかどーなってんの?」


「―――ッ!」


どいつもこいつも、人の悩みをストレートに口にしやがる。


決まってたら、とっくに言ってるってのに。



「…漁師にだけは、なりたくない。」


「それ、前も確か言ってなかったっけ?
お前、何か恨みでもあんの?」


誠の言葉にあたしは、頬を膨らませた。



「まぁ、具体的に決めるより、まずは漠然と好きなもの考えろよ。
行きたい方向とかさっ!」


そう言った誠は、聴いたこともないようなメロディーの鼻歌を混じらせた。


きっと、新曲なのだろう。


誠のことは馬鹿だとしか思わなかったが、その考えは訂正しなければならない。



「…アンタ、格好良いね。」


「ハァ?!
セナ、毒キノコでも食った?!」



ごめん、訂正の訂正だ。


やっぱ誠は、どこまで行っても馬鹿決定。