「…ごめんね…」
部屋に戻り、熱帯魚に餌をあげながらそう呟く。
まるで、自分自身を憐れんでいるようで。
アンタ達だけは、いつか絶対、逃がしてあげるから。
だから自由になれるその日まで、もう少しだけ待っててね。
真っ暗な部屋の中で窓を少しだけ開け、
その隙間から流れてくる夜風と月明かりだけを頼りにあたしは、煙草を咥えた。
風に流された煙草の煙が、部屋の中を漂いながら消えて。
あたしも、こんな風に消えることが出来たなら。
大学生になんて、なりたくもなかった。
印刷会社だか何だかだって、行きたいとも思わない。
じゃあ、何がしたいのかと問われれば、結局答えなんて見つからなくて。
誰かに助けて欲しかった。
なのに手を伸ばした先には、当たり前に誰も居なくて。
何も掴めないままあたしは、その拳を握り締める。
「父の知り合いの会社に就職します。」
翌日学校で、担任にそれだけ告げた。
こう言えばみんなが喜ぶなら、もぉそれだけで良い。
これで誰にも何も言われなくなるなら、それだけで良いんだ。
そんなあたしなんかの思いとはまるで正反対に、
担任は、涙でも流しそうなほどに喜んでいて。
嬉しそうなその顔に、罪悪感がチクリと胸を刺激した。
相変わらず学校では、みんなから“女王様”だとか言われて。
あたしは、そんなのじゃないのに。
何もかも思い通りの“女王様”なんかじゃないのに。
誰にも必要とされない、ただのちっぽけなだけの人間なのに。
部屋に戻り、熱帯魚に餌をあげながらそう呟く。
まるで、自分自身を憐れんでいるようで。
アンタ達だけは、いつか絶対、逃がしてあげるから。
だから自由になれるその日まで、もう少しだけ待っててね。
真っ暗な部屋の中で窓を少しだけ開け、
その隙間から流れてくる夜風と月明かりだけを頼りにあたしは、煙草を咥えた。
風に流された煙草の煙が、部屋の中を漂いながら消えて。
あたしも、こんな風に消えることが出来たなら。
大学生になんて、なりたくもなかった。
印刷会社だか何だかだって、行きたいとも思わない。
じゃあ、何がしたいのかと問われれば、結局答えなんて見つからなくて。
誰かに助けて欲しかった。
なのに手を伸ばした先には、当たり前に誰も居なくて。
何も掴めないままあたしは、その拳を握り締める。
「父の知り合いの会社に就職します。」
翌日学校で、担任にそれだけ告げた。
こう言えばみんなが喜ぶなら、もぉそれだけで良い。
これで誰にも何も言われなくなるなら、それだけで良いんだ。
そんなあたしなんかの思いとはまるで正反対に、
担任は、涙でも流しそうなほどに喜んでいて。
嬉しそうなその顔に、罪悪感がチクリと胸を刺激した。
相変わらず学校では、みんなから“女王様”だとか言われて。
あたしは、そんなのじゃないのに。
何もかも思い通りの“女王様”なんかじゃないのに。
誰にも必要とされない、ただのちっぽけなだけの人間なのに。


