それから清水は、当てつけのように俺の授業に出なくなった。


それだけならまだ何とかなるのだろうが、

日誌を見る限り、目ぼしい授業ほとんどをまともに受けていない。


数学に至っては、桜井先生が嫌いなのか、一度も出てはいなかった。


もしかしたら、本気で辞めるつもりなのかもしれないとさえ思えてきて。


誰かに聞きだそうにも、アイツに友達なんて居ないし。


白石に至っては、まともに学校に来ることすらなくなっていたのだ。


留年している分、まだ白石の方が真面目に授業を受けていたはずなのに。


お前ら二人、何考えてんの?


ホントにお前ら、何もないの?


男と女なんて、そんな風に言っててもある日突然にその関係が変わったりするから。


こんな時だからか、余計に不安になってしまう。



清水と学校ですれ違う度、俺ばかり息苦しくなって。


声を掛けることも出来ないまま、日々が過ぎて。


一週間以上肌を合わせないなんてこと、なかったのに。


一週間もすれば、フラッと清水は、俺の部屋に来ていたのに。





今日も空っぽの、清水の席。


それどころか、学校にさえ来てはいない。


そんなことにため息を吐き出しながら俺は、授業を進めた。



「131ページの長文、みんな訳してきたよな?
こーゆー問題、センターで良く出るからな。」



つまんないだけの毎日。


俺も魚雲でも探せば、何か良いことあるのかなぁ。


見つけることが出来たら、清水は俺を許してくれる?


なんて、馬鹿みたいだな、俺。